漆黒の翼の天使

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天使の証は純白の翼 しかし生まれながらに 漆黒の翼を持ってしまった天使がいた それは宿命か、悪戯か… 漆黒の翼の天使は 皆から忌み嫌われ 毎日毎日 来る日も来る日も 独りぼっち…ずっと独り… そんな孤独な漆黒の翼の天使は ある日神様に地上の管理を任された 初めての地上、初めて見る世界 地上は動物達しかいない世界 動物達は漆黒の翼の天使を差別することなく受け入れた 心優しい動物達 漆黒の翼の天使は動物達の世界を見守る しかしそれは突然やってきた 漆黒の翼の天使がいつものように 平原で動物達と遊んでいると 空が曇って雨が降り出し 森の方から悲鳴が聞こえた 動物達の悲鳴が聞こえた… 急いで駆けつけた天使の瞳に映ったものは 無惨にも命の灯火を消された動物達の姿… 「貴様、天使か?」 問われて振り向く そこには真っ黒い…漆黒の翼をもつ者が… 「その翼…俺らと同じ“悪魔”か」 “悪魔”は天使の漆黒の翼に目を移す 違ウ…同ジナンカジャナイ…!! 天使は悪魔を睨みつける 悪魔は動物達に剣を翳す ヤメテ…!! 次の瞬間 天使の背からは鮮血が飛び散った 辺りに漆黒の羽が舞い散る… 悪魔の剣に血が滴る… 天使の背から翼が切り放された… 「お前…裏切るのか…?」 天使は悪魔と戦った 動物達を守るために 護るために… そして空が晴れ渡る 天使が悪魔を倒して平和が戻る 天使は仰向けに倒れている 血まみれで倒れている… その瞳に移るのは青空と虹… そんな天使の周りに集まる動物達 天使はそんな動物達に見守られながら 静かに眼を閉じた 優しく微笑みながら ゆっくりと眼を閉じた… 動物達の鳴き声が… 泣き声に変わって天へと響く 漆黒の翼の天使 翼は悪魔 心は天使 みんなを守った天使 神様はそんな動物達の声を聞き 地上に新たな命を…種族を生み出した 漆黒の翼の天使 その翼は悪魔に切り放されて 今は最期まで守り抜いた動物達と暮らしている 今でも天使の心を持って暮らしてる… 神様は、翼を切り放された天使を“人間”という生き物として地上へ再び生み出した…。 地上に初めて人間という種族が誕生した話…。  
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