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その日の部活中、
いきなり美優が話し掛けてきた。
ふと思うのだが、「いきなり電話が鳴った」とかって表現はおかしくないか?
電話はいつでもいきなりだと思うんだが…。
話を戻すか。
美優「聞きたいんだけど…どーやったらそんなスパスパ当たるの?」
俺「それは日頃の行いがいいからだな。」
今日はすこぶる調子がいいらしい。
4連続回中とかやってのけてるし。
ちなみに、回中ってのは4射連続で的に当たること。
つまり、16射連続で当てたってことだな。
美優「もう…まじめに答えてよ~。」
至極まじめなつもりだったんだが。
俺「まぁ、今日はやたら調子がいいんだよ。外す気がしねぇもん。」
美優「凄い自信だよねぇ…。」
俺「実際は集中力だな。今日の俺は的以外見えないし。」
美優「う~ん…やってみるよ。」
…妙なもんだ。
数日前はまともに話せなかったのに。
…そろそろ俺も吹っ切れてきたのかねぇ。
集中力をさらに増した俺は、それ以降7連続回中をやってのけたのだった。
そして部活も終わり、中庭を抜けて帰っていると…。
坂本絢だ…。
話し掛けてみるかな。
俺「坂本絢ちゃん?またなんか探してんの?」
絢「……はい。」
俺「今日は手伝うから、言ってみ?何を探してんの?」
絢「……あなたはなぜあたしに話し掛けるんですか?つまらないでしょ?」
俺「君はうちの生徒だろ?それ以外に理由がいるのか?」
絢「答えになってません。」
俺「模範回答なんかないだろ。俺がそうしたいからそうする。それだけだ。」
絢「……同情じゃないんですか?」
俺「話し掛けるのに同情は必要か?それとも、同情してほしいのか?」
絢「そんなことありません!第一、名前も分からない人に話し掛けられたら、同情されてるのかと思うじゃないですか!」
驚いた。
彼女が感情をまともに出したのは初めてだな。
俺「あぁ。悪い。俺は2年の高原巧。一応、生徒会の役員だ。」
絢「高原巧…さん?」
俺「うむ。敬称は任せる。」
絢「高原さん…あたしの名前をどこで知ったんです?」
俺「俺はかわいい子のチェックは怠らないぞ。」
絢「か、かわいいって…。」
おぉ。赤面してる。言われ慣れてないな。
絢「あ、あたし帰ります!」
…まずったかな。
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