2限目~探し物はなんですか?~

2/11
183人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
その日の部活中、 いきなり美優が話し掛けてきた。     ふと思うのだが、「いきなり電話が鳴った」とかって表現はおかしくないか? 電話はいつでもいきなりだと思うんだが…。     話を戻すか。     美優「聞きたいんだけど…どーやったらそんなスパスパ当たるの?」 俺「それは日頃の行いがいいからだな。」     今日はすこぶる調子がいいらしい。 4連続回中とかやってのけてるし。 ちなみに、回中ってのは4射連続で的に当たること。 つまり、16射連続で当てたってことだな。     美優「もう…まじめに答えてよ~。」     至極まじめなつもりだったんだが。     俺「まぁ、今日はやたら調子がいいんだよ。外す気がしねぇもん。」 美優「凄い自信だよねぇ…。」 俺「実際は集中力だな。今日の俺は的以外見えないし。」 美優「う~ん…やってみるよ。」     …妙なもんだ。 数日前はまともに話せなかったのに。 …そろそろ俺も吹っ切れてきたのかねぇ。     集中力をさらに増した俺は、それ以降7連続回中をやってのけたのだった。     そして部活も終わり、中庭を抜けて帰っていると…。     坂本絢だ…。 話し掛けてみるかな。     俺「坂本絢ちゃん?またなんか探してんの?」 絢「……はい。」 俺「今日は手伝うから、言ってみ?何を探してんの?」 絢「……あなたはなぜあたしに話し掛けるんですか?つまらないでしょ?」 俺「君はうちの生徒だろ?それ以外に理由がいるのか?」 絢「答えになってません。」 俺「模範回答なんかないだろ。俺がそうしたいからそうする。それだけだ。」 絢「……同情じゃないんですか?」 俺「話し掛けるのに同情は必要か?それとも、同情してほしいのか?」 絢「そんなことありません!第一、名前も分からない人に話し掛けられたら、同情されてるのかと思うじゃないですか!」     驚いた。 彼女が感情をまともに出したのは初めてだな。     俺「あぁ。悪い。俺は2年の高原巧。一応、生徒会の役員だ。」 絢「高原巧…さん?」 俺「うむ。敬称は任せる。」 絢「高原さん…あたしの名前をどこで知ったんです?」 俺「俺はかわいい子のチェックは怠らないぞ。」 絢「か、かわいいって…。」     おぉ。赤面してる。言われ慣れてないな。     絢「あ、あたし帰ります!」     …まずったかな。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!