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その日のバイトは勇樹さんと二人のシフトだった。
自然と昨夜のおでん騒動の話になった。
勇樹「恭子が機嫌いいのって怖いよなぁ。」
俺「昨日のおでんのぶちまけっぷりは見事でしたよ。勇樹さんがシフトにいなかったのが悔やまれますね。」
勇樹「ところで、なんでそんなに浮き浮きだったんだ?」
俺「さぁ…なんかいいことあったんじゃないっすか?」
そこで一つ思い出した。
俺「あ、そうだ。恭子の弱点知ってました?」
勇樹「弱点?なんだそりゃ?」
俺「かわいいとか、そっち系の誉め言葉でめちゃめちゃ赤面するんすよ。」
勇樹「そうなの?おっかしいなぁ…俺はたまに言ってるんだけどなぁ…実際にかわいいし。」
俺「しょっちゅう言ってちゃ説得力に欠けますよ?サラっと、自然に言わなきゃ。」
勇樹「なるほど…てっきり、恭子は巧のことが好きなのかと思ったぞ。」
俺「俺っすか?」
俺は一瞬、半眼で考えて、
俺「いや、ないでしょう。あんだけかわいいんだから、彼氏がいないにしても言い寄る男には事欠かないでしょうし。」
勇樹「あぁ。確かにな。」
俺「そうそう。例えば勇樹さんとかね。」
勇樹「そうなんだよ、実は…。」
俺「え?マジすか?」
勇樹「残念だが、俺にはラブラブな彼女がいてな。恭子と言えど霞むぞ?」
俺は正直驚いた。
恭子は、外見にあんまり興味がない俺から見てもかなりかわいい部類に入ると思う。
が、勇樹さんの彼女は恭子さえも霞むと…。
自然に、恭子の話はフェードアウトしていった。
そして、バイトが終わり、自転車で帰ってる最中。
誰かからメールが来たようだ。
恭子「バイトお疲れ様~。今朝はありがとう!おかげで寝坊しなくて済んだよ。朝から巧君の声も聞けたしね~。」
俺は嘆息しつつ、
俺「礼なんかいらんから、もうちょい体をいたわれ。今日は早く寝なさいな。」
走り出したらすぐに返事が来た。
恭子「ありがとう。やっぱり巧君は優しいよ。巧君の彼女はもっと優しくしてもらえるんだろうなぁ~。」
俺はとりあえず、帰ってからレスをした。
俺「どうだろうな。元カノには好きな人が出来たわけだし。」
恭子「ゴメン。余計なこと言っちゃったね。ゴメンね。」
俺「俺が気にしてないから気にするな。それじゃあおやすみ。」
そのまま俺は眠りに就いた。
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