2限目~探し物はなんですか?~

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俺「坂本絢ちゃん?今日もいるんだなぁ。」 絢「…………」 俺「もしかして、俺を待っててくれたとか?」 絢「そんなことはありません。」     うむ。見事な即答だ。 言葉を挟むスキもないな。     俺「授業終わってからだいぶ経つけど、いつもこんな時間まで探してんの?」 絢「…はい。」 俺「こんなに探して見つからないんじゃあ、ホントに一人で探すのは大変だろ?」 絢「……高原さんはなんでこんな時間までいるんですか?」 俺「俺は部活だな。弓道部。分かるかな?」 絢「はい。ハカマを着てやってるんですよね。」 俺「そうそう。なんなら、今度見に来る?部外者に弓を引かせるわけにはいかないけど、見学は自由だし。」 絢「…………」 俺「あ、嫌だったらいいんだわ。」 絢「嫌ではないです。」 俺「じゃあ来てみな?明日でもいいし。」 絢「…………」     どーでもいいことだが、 彼女は無言の時、小首をかしげながら考えているらしい。 表情から感情が読み取れないのが難点だが。     絢「分かりました。明日見に行きます。」 俺「了解。姫、弓道場は分かりますかな?」 絢「姫って…。」     おっ。さすがにこれは恥ずかしいらしい。     俺「私でよければご案内致しましょうか?」 絢「…………」     おや?外したか?     絢「高原さん。そのキャラはあわないと思います。」 俺「うむ。自覚してるから安心していいぞ。」 絢「高原さんって面白い人ですね。」 俺「誉め言葉として受け取っておこう。」 絢「では、明日の放課後にでも見に行ってもいいですか?」 俺「OK。場所は大丈夫?」 絢「あっ…。」     そう言うと恥ずかしそうにうつむいた。     俺「今からちょっと見に行く?場所だけでも教えておくよ。」 絢「ゴメンなさい。」 俺「いや、謝らなくていいよ。俺も、かわいい子のエスコートが出来て嬉しいからな。」 絢「かわいくないです。」     また恥ずかしそうにうつむいてしまった。     俺「姫、こっちですよ。」 絢「姫はちょっと…。」 俺「なんて呼んだらいいかな?」 絢「名前で構いません。」 俺「じゃあ、絢。行こうか。」     そう言うと、俺は弓道場に向かって歩き出した。 絢は横に並ぶとなおさら小さく感じる。 ちょっと歩くし、軽く世間話でもしてみようかね。
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