2限目~探し物はなんですか?~

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絢がその日の部活を見に来た。 美優は知ってることだったが、他の部員は知らない。   当然、好奇の的となった。   しかし、俺と美優以外が話し掛けても表情や視線を動かさないままで答えていた。     男子部員「おい、高原。なんだってあんな子を見学させてんだ?」 俺「おや?この部活は見学すんのにお前の許可がいるのか?」 男子部員「そーゆーわけじゃないけど…ほら、やりにくいじゃん?」 俺「知らんよ。それはお前の集中力が足りないだけだろ。」     実際のところ、見られてるのが気になるのか、ほとんどの部員が普段以下の確率だった。     女子部員「ねぇ、高原君。なんで見学させてるの?」 俺「弓道に興味を持ってくれたから。」 女子部員「みんな確率下がってるんだよ?」 俺「たった一人の視線すら耐えられないんじゃ、大会なんざ出れねぇだろ?」 女子部員「それはそうだけど…高原君の確率はどうなの?」 俺「あいにく俺は、相変わらず絶好調だ。外す気がしねぇもん。」 女子部員「高原君とスランプを抜けた河原だけじゃん。」 俺「かっこつけようとしてるからそんなことになるんだろ?」     ムッとして、その女子は下がっていった。 それにしても、本気で俺ら以外には表情を見せないなぁ…。     俺「絢?どうした?」 絢「あたし…邪魔ですか?」 俺「そんなことないだろ。」 絢「だって…みなさんあんまり当たってませんよ?」 俺「集中力が足りないだけだ。美優はすげぇ当ててるだろ?」 絢「そうですね…凄いです。素人のあたしが見ても、河原先輩のフォームは綺麗ですから。」 俺「あの型を安定させることが出来るのが美優の力なんだ。集中力が増してる今は、俺でも敵わないよ。」 絢「高原さんも凄いですよ?集中してる時は周りの空気が張り詰めてる感じがします。」 俺「そりゃ光栄だな。あ、俺はそろそろ上がるけど、絢はどうする?探しものはいいのか?」 絢「これから、です。」     この話題になると、どーしても表情が硬くなるんだよなぁ…。     俺「よし、今日はバイトもないし、俺も付き合うよ。」 絢「そんな…悪いです。」 俺「悪いかどうかは俺が決める。絢が気にする必要はないな。」 絢「はい…ありがとうございます。」     若干、表情が柔らかくなった気がした。     少しずつ。 少しずつ。 「次」のステージへ進んでいく。
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