ホームルーム~自己紹介~

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そんなある日のこと。     部活を早めに終わらせた俺はバイトまでの時間を持て余していた。     美優「あ、巧…。」     声をかけてきたのは俺の彼女…いや、元カノである河原美優。 なんと同じ部活だ。     ちなみに、俺がやってるのは弓道部。 ハカマ姿がかっこよかったから入ってみたんだが、これがなかなか面白い。 性格通り成績にもムラがあったが、当たり出すと止まらない、勢いタイプの俺。   そして、安定こそしているものの、スランプの時間も好調時期も長いおっとりタイプの美優。     そんな二人は付き合っていた。 それなりにうまくいっていたつもりだった。     そんな折、突然彼女から別れを告げられたのだ。 理由は「他に好きな人が出来たから。」     ショックだった。 そんなそぶりはまったく見られなかった。 みっともなく引き止めはしたが、当然心変わりするわけもなく…。 美優は俺から去っていった。     まぁ、大袈裟に言ってみたものの部活が同じだから毎日顔を合わせるわけだが。     俺は明らかに距離を置いていた。 美優の好きな人とやらを知りたくなかったから。 周りに「別れた」って事実をはっきり見せたかったから。 そーすることで自分を納得させたかったんだが、そんな器用な性格じゃないため今まで時間がかかった。     そんなとこだな。     で、話し掛けられたわけだ。 俺が帰るのを見計らって…。     俺「お、おう。美優。どーした?」     若干上ずったが、なんとか自然に答えられただろ。 うん。間違いない。 間違いないったら間違いないんだ。     美優「巧…あのね?」     ま、まさか…寄りを戻そうとか…? うわぁ。俺ってまだしっかり引きずってるなぁ~。     俺「な、なに?」   美優「あのね…。」     あ、なんかドキドキしてきた。 来い来い!来い~!!     だが、現実はそんなに甘くはなかった。     美優「あの…これ…返さなきゃと思って…。」     ………………?     あぁ…お揃いで買ったストラップね…。 そっか…。 そーゆーことか。     俺「う、うん。ありがとう。」     なにがありがとうだ。 アホか俺は。     美優「じゃあ、ゴメンね。ホントにゴメンね。」     俺は、情けなくて今にも泣きそうになってきた。
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