3限目~その、もう一つ先へ~

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中庭にはないと俺が推測したから、違うところを探してみることにした。     が、校内に似たような場所があるわけもなく、校外なんじゃないかって結論に至った。     絢「ゴメンなさい。あたしのために時間を使わせちゃって…。」     恐縮しきりな様子だったので、俺はハッキリ言うことにした。     俺「俺は謝ってほしいわけじゃない。絢の笑顔がみたいだけだよ。」 絢「あたしの笑顔…?」 俺「うむ。かわいい女の子の笑顔が見たいってのは当然のことじゃないか。」 絢「か、かわいくなんかないです!」 俺「絢がかわいいかどうかは絢が決めることじゃない。周りが決めることだ。少なくとも、前に微笑んだ表情はすっごくかわいかったぞ?」 絢「そんなこと…。」     それっきり絢はうつむいてしまった。     俺「まぁ、探し物が見つかった時に笑ってくれりゃあ、それでいいんだよ。」 絢「見つかった時…見つかるんでしょうか…?」 俺「絢がそんなんじゃ見つかるものも見つからないだろ?信じて探すのだ!」 絢「信じて…はい!分かりました!!」 俺「よし、いい返事だ。じゃあ、中庭に似てるとこを探してみようか。」 絢「心当たりとかあるんですか?」 俺「なくはないんだけど…正直に言えば、自転車じゃないと厳しいとこが何ヶ所か…歩いて行ける範囲じゃないなぁ。」 絢「自転車、ですか…。」 俺「運転出来る?」 絢「で、出来ます!…ここ何年かしてませんけど…。」     そう言うと、口をとがらせてしまった。 俺は半眼になりながら、     俺「なんなら、俺の後ろに乗るか?」 絢「高原さんの?二人乗りってことですか?」 俺「嫌なら他に考えるけど…。」 絢「嫌ではないです。ただ…やったことがなくて…。」     そう言うと、絢は顔を少し赤らめた。 こーゆーとこがかわいいと思うわけだが。     俺「そりゃあいいや。ママチャリだし後部座席はついてるから掴んでりゃ落ちないだろ。」 絢「……………」     悩んでる。 怖いのだろうか?     俺「怖い?」 絢「ちょっと…でも、そこに行ってみたいです!」 俺「よっしゃ。そうと決まったら善は急げ。行くぞ!」 絢「はい!」     俺は嬉しかった。 表情に変化が少ないのは相変わらずだが、それでも警戒心はほとんどないように感じる。 だからこそ、俺は頑張ろうと思えるのだった。
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