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「なかなか面白いのがいるみたいデスねぇ」
立ちすくむ仲間を掻き分け、椿の前に立つ男。
異常さが一目でわかる。
目も口も開けたまま。
黒目は、どこを向いているのか…
ふらつく足を、するように歩く。
「あんたもカナリ面白いよ。」
椿は、煙草を握り消し、ゆっくりと彼の額から下へ刀を這わす。
ぱっくりと開いた皮膚。
中から覗く黒い顔…
「アハハ バレちゃいまシタね。」
笑いながら飛び出した生き物、小さな子供程の大きさ…
コウモリのような翼をはためかせ上昇する。
黒く薄い肌は 血管を浮き立たせ、しっとりと濡れて見えた。
「まだ、見物してたかったデスけど 今日は帰りマス。貴方が 大人になったら お迎えにきマスよ…」
そう言って姿を消した。
「行きたくねーな。」
空を眺めたまま 呟く椿。
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