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衝動に駆られる。
そこに行けば 大切な事を思い出せる気がした。
草を踏む音。白い息…
風が突き刺す指が痛い…
体より気持ちが先に出る
。歩幅が大きくなった。
増して強くなる香り。
たどり着いた先、まるで白い絨毯のような花畑。
スポットライトのように月に照らし出される。
それを目にした途端、突き上げる悲愴感…
輪郭がぼやけ出し、
抑えられず零れた雫が頬を濡らす。
何度拭っても渇く事なく、高ぶる気持ちが抑えられない…
そんな椿の前に
急に激しく吹き起こる風。
砂埃を巻き上げ 花弁を揺さぶった。
漏斗状の旋風が 空から垂れ下がる。
徐々に勢いを失い、残る影。
「……何を嘆いている?」
現れた男…
椿は目を疑った。
そこに立つのは…
(…俺とソックリだ…)
顔や姿…それ以上に醸し出す雰囲気がよく似ている…
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