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「白いユーチャリス……。」
また夢と繋がる現実。
そして突然現れた父親…。
ゆっくりと腰を下ろし、ため息をこぼす。
彼の顔が浮かぶ。
こんな場所で再会するとは考えてもなかった。
「名前も知らないのに…」
母も姉達も、父の話を避け、家に写真一枚ない。
さして疑問に思う事もなかったが…今にしてみれば 何か不自然だった…。
不可解な父親の言葉…
『お帰りなさい』の意は…?
懐かしく感じるのは思い違いでなく
この世界を知っているから?
(俺は…誰だ…?)
混乱する頭を2、3度振り、花の中に倒れ込む。
近くに感じる優しい香り…
「ユーチャリス…か。」
夜空を背景に掲げる一輪、指先で遊ぶように転がした。
(…。)
突然、脳裏に流れた映像。
誰かが笑う。
ぼやけた景色が、徐々に輪郭を捕らえる。
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