真実に向けて…

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胸を締め付けられる感覚を共なって、再び浮かんだ景色に彼女の姿はない。 無惨に散乱し、踏みつけられた花が真っ赤に染まる。 目に入る物、総てに塗り付けられる血は黒く凝固し始めていた。 そして擦るように続く赤い道… 先程の場所と思えないほど薄暗く、怪しい。生気を無くした空気が漂う。 たちこめる生臭さ… 辿る先、森を抜けた。 太陽のまばゆい光に目が眩む。 耳に響く歓喜の声… 開いた目が映した光景。 ……ただ一点に、くぎづけにされる。 人間に囲まれ、掲げられた女。 酷く傷付いた肌、力無く垂れた腕に血が伝う。 風に揺らぐ乱れた髪の隙間に見えた、見開く目が 涙を流す… ………あれは…… ユーチャリス…………… …………ッッ ァア゙ァ゙ア゙ァ゙ァーーーーーッ!!
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