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一分の狂いもなく、止んだ行進。
軋みながら 腰にある剣を抜いた。
その鋭利な刃に息を飲む。
サーッと引いた血の気に、頭の中で死へのカウントダウンが始まりだした。
椿は、頭を振って、気持ちを研ぎ澄ます。
(死にたくない…
死にたくない…
死にたくない…)
「お前が 死んだら世界も終わると思えよォ~!」
トラの言葉が 肩に重くのしかかった。
「トラが死んだら、僕も終わりだからなッ!」
互いに交わした言葉を皮切りに、対極の方向に跳ねる。
背中越しに聞こえる銃声で トラの生存を確認しながら、道を切り開く。
奴らの 鎧は、厄介で継ぎ目を狙ったつもりでも、ズレに 刃が跳ね返る。
トラの方も 苦戦しているようだ。
聞こえるのは、悶えた声より跳弾の方が多い気がする。
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