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「未来なんて、知らない方が楽しいっちゃ♪」
表情が闇に墜ちた。錯覚程の短い時間。次には挑発的な笑顔を戻していた。
パァァーン
耳を突き刺すような渇いた音。左側が膝から崩れ落ちた。
「……え……?」
今、何が起こった?
灰になって消えていく笑み。砂山のようにもろく、サラサラと流れた。
立ち尽くす椿。その手を乱暴につかみ取ったセレナが、そのまま湖に引きずり込む。困惑より早く、世界は、ぼやけて揺れていた。
…セレナ!…なんで……
絡み付く重い水圧とセレナを蹴飛ばした。
後ろで、途切れるような叫び。『行くな』
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