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ただ……なぜか……
とても悲しかった……
跳び出したセレナが、彼の元へ駆け寄る。
「…ヴレイン……」
ボロボロと地面の濃さを増した色は、体に張り付いた水か涙かぐらい、椿にも解った。
湖から上がり、纏わり付く服が重い……もしかしたら、重いのは心の方だったかもしれない……
誰かの死……
鉛のように重く、椿にのしかかる。
男が立ち上がり、椿の姿をじっと見た。
「黒い髪に、黒い瞳。服まで真っ黒な男……」
そして おもむろにひざまづくと頭を下げた。
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