序章:恐怖

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 それは、100円で買える事がウリのいたって普通のハンバーガーであった。  てか寒いならさっさと食えよ。贈り物かなんかだから、食べてないんだと思ってただろ、まったく。  なんて、どこの誰宛に文句を出したら、まともな返事が返ってくるのかわからないようなツッコミを、心の中でつぶやきつつ、流石に人がものを食べる様をまじまじと観察するのには気が引け、窓の外に視線を外した。  雪が少し小降りになってきている。なんせ初雪だ。明日は子供達が朝一番に起きて、雪合戦や、雪だるま作りを始めるのであろう。気のいい小学校の先生の中には、授業をすっぽかして子供達と遊ぶ人もいるであろう。  昔の俺や俺の先生がそうであったようにな。  と、感慨にふけっていると、奇妙な音が聞こえてきた。新聞紙を丸める音に、細胞を潰す音(実際どんな音か知らんが)を合わせたような音。時折、その新聞紙を勢いよく破る音も聞こえる。  さっきも言った通り、ここには俺とさっきのやつしかいない。俺は頬杖をついて窓の外を眺めているだけで、身体が勝手に動かないのであれば、その音の発信源は、やつしかいない。  流石に気になった俺はひょいと左を見て  愕然とした。
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