吉田一美

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④少女が"紅世"に踏み込む時……  坂井悠二と、あるいは平井ゆかり(シャナ)ても幸せに過ごしてゆく、となんの根拠もなく信じていた、よえにこそ当然のものとして意識されていた吉田一美の日常は、ある日、一つの出会いで足元から崩れ去る。  街中が浮かれ騒ぐミサゴ祭りの前々日……吉田は、一人の年端もいかない、しかし不気味なほどに貫禄のある少年と出会い、奇妙な協力を要請された。  少年の名は、『儀装の駆り手』カムシン。"紅世の徒"によって歪んだ御崎市の在り様を矯正するために訪れた『調律師』だった。  カムシンが片眼鏡『ジェタトゥーラ』で見せた『この世の本当のこと』の恐るべき姿に衝撃を受けた吉田は、迷い怯えた末、カムシンから一つの決断、「見るや否や」を委ねられる。『勇気を出して、良かれと思い、選ぶ』ことを。  悠二をミサゴ祭りに誘い、一緒に楽しく巡り――しかし、異変は起きる。  その中で、吉田一美は、一つの行為を『良かれ』と思い、選び、そして――
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