174人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
「面白ぇ、オレが勝ったらバンドに入ってくれるんだな?」
そう言って吉本もローファーを脱ぎ、スニーカーソックスまで脱いで裸足になった。空手経験のある吉本としては、革靴より裸足のほうがやりやすいらしい。
「おいおい、マジでやんのかよ!?」
喧嘩反対主義者の奈良はどうしていいかわからなかった。目の前でいかついヤツと変態が睨み合い、今にも闘いそうなのだ。
また、彼には吉本がその場にいることが不自然で仕方なかった。今まで、吉本が喧嘩する姿はモチロン、マジギレした姿さえ見たことがないのだ。
だが、今の吉本は本気である。目が戦士の目だ。それは磯貝も同様。
「来いよ、転校生…」
「ケンカ売ったのはオレだ、主導権握った気になってんじゃねぇ…!」
多摩川の土手は今まさにリングになろうとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!