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生き物の焼け焦げる匂い…あちこちで上がる黒煙…飛び交う銃弾…目の前で消える数多の命……こんな光景に慣れてしまってから、どれだけの月日が流れたろう……?
「セイヤ!!ここはもう駄目だ!後退しよう!!」
この男は、【アキラ少尉】……俺が所属している【第28番 地上部隊】の隊長だ。そして、“あいつ”の兄でもある。
「聞いているのか?セイヤ!早く後退するぞ!!」
「……嫌です」
「は?なに言ってんだ、お前?ここで後退しなかったら、俺達は間違いなく全滅だぞ!?」
「だったら、アキラさん達だけ逃げてください。俺はここに残りますから」
「お前、死ぬ気か?」
「死ぬ?ああ……それもいいかもしれませんね?」
どうせ、あいつのいない世界で生きていたって仕方ないんだ……ここで死ぬのもいいかもしれないな………
「バカヤローが!!」
ゴンッ
「っつ!?」
頭部に凄まじい激痛が走った。殴られた?
「お前が俺の部下じゃなかったら勝手に死ねばいい。けどな、俺はお前の上官でお前は俺の部下だ…俺の部隊からは誰1人として無駄死にさせるわけにはいかねえんだ。特に、お前を死なせちまったら“アイツ”に会った時に情けねえしな」
「アキラさん………よくそんな恥ずかしい台詞を真面目な顔で言えますね?」
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