2人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「狭いし散らかってるけど、どうぞ。」
あの時もそう言った。
『愛香ちゃん………本当にあの時はゴメン。俺…どうかしてたんだ。』
「……………」
また何も話さない。
『言い訳にしか聞こえないと思うけど、実はあの時愛香ちゃんのこと好きだったんだ。でも、言う前にあんなことしちゃって……ずっと謝りたくて、探してたんだ。』
「……………」
「あたしが許さないって言ったら、どうするの?」
『………許してもらおうと思ってるわけじゃない。』
「じゃぁ、なんなの?」
『責任を取りたくて…』
「責任ってなに?」
『それは……』
自分が何も考えてなかったことに気が付いた。
情けない。
「あたしは、今更責任取ってもらおうなんて思ってないから。」
『え…?』
「今はこの子がいれば、あたしはそれでいいの。この子は、あたしの全てなの。」
そうだった。
赤ちゃんがいたんだ。
『ねぇ、その子は誰の子なの?』
「あたしの子だけど?」
『そうじゃなくて、相手…』
「知ってどうするの?」
『もしかして、俺の子?』
最初のコメントを投稿しよう!