復讐と憎悪の渦

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「なぁ………フェリア」 それから一時間後。 「本当に、ここでいいのか?」 俺……… いや、俺達は学校の 屋上にいた。 「ええ、問題ありません…………」 フェリアは 手帳から目を離すこと なく答える。 「あと十秒…………」 フェリアがそう 呟いた瞬間。 「九……………」 誰かが 階段を昇ってくる音。 「八………七…………六………五………四……」 音が、近付いてくる。 「三………二…………一………」 扉が、軋んだ音を立てて開いた。 「零……………」 フェリアの小さな呟きが風に運ばれて 俺の元に届いた。 「あ、ひ、緋村っ!?」 入って来た男は 俺の顔を見て 上擦った声をあげる。 「木村……………」 そいつの顔を見た途端。 「テメェぇぇぇ!!!」 俺の中で、何かが弾けた 「海斗さん、落ち着いてください」 その男、木村に 掴み掛かろうとしていた俺をフェリアが引き止める。 「なんで止めるんだっ!」 「……………」 「あいつは!紗夜を殺したんだぞ!?」 そう、木村は紗夜を 襲った実行犯の一人。 許す訳にはいかない。 「あの人を殺したら、他の人の居場所が聞けないでしょう?」 フェリアの『眼』が 「!?」 木村の目を捕らえる。 「あ、ああぁ………」 木村が、ゆっくりと 歩みよってくる。 魔眼、死神の力の一つ。 短時間だけ相手の体を 支配することができる力 フェリアはそれを 使ったようだ。 「さぁ、教えてください…………」 座り込んだ木村の首に 白く発光する鎌を 突き付けながら フェリアが口を開いた。 「他の人が、どこにいるかを…………」
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