物語の真実

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「ご名答♪流石海斗くんだねぇ~」 僕の書いたキャラクター なだけはあるや。 「その通り!ここは小説の中だよ」 海斗は諦めたような 表情で僕を見ている。 「気付かないほうが幸せだったかもね、君にとってはさ…………」 現実では何をやっても 上手く行かない僕は 小説の中に逃げ込み 理想の自分を作り上げた それが 緋村 海斗と言う存在 「後悔はしてねぇよ」 そう言った海斗の眼には 曇りがなかった。 「小説はいつか終わりを迎える、それが少し早くなったってだけさ」 流石は理想の僕。 理解が早いな。 「だから………さ」 海斗は空を見上げて 小さく為息をついた。 「早く、終わらせてくれ………もう疲れたよ」 「…………わかった」 理想の僕を消すのは 辛かったけど 仕方の無いことだ。 それがルールであり 僕自身の 願いでもあるから。 「さようなら、海斗…………もう君に会うことはないと思うけど、元気でね?」 「はは!それはお前が決めることだろ?」 「ん?そういえばそうだね…………」 皮肉な笑みを浮かべる 海斗を見ながら 僕はノートを 取り出した。 この物語の 結末を書く為に……… 『さようなら   もう一人の僕……』
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