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「これは、世界のために荒野中を駆け回って死んだ父さんの形見だから着てるんだ」
俺が袖を掴んで訴えると、少年はけっ、と毒付いた。
「本当かよ」
「本当だって!とにかく俺はこの騒ぎには全く関係ない!被害者の一人なんだよっ!」
「さっきも不審な動きしてたじゃねぇか。そわそわして辺り見渡したり。
そのケースの中身も危険物じゃねぇだろうな」
「そーれーはっ!初めての列車に浮かれてただけだっ!危険物も、こんな軽いケースに入ってねぇよっ!」
こんなガキみたいなこと大声で言うなんて、俺はだいぶ切羽詰まってるんだな・・・
「っていうか、これ、もうやめてくれ・・・」
俺は顔の前に並んでいる武器を、避けるように手の平で押し返す素振りをした。
「だから・・・俺じゃないってば・・・」
俺が必死に抗議をすると、ようやく俺に向けられた凶器達をおろしてくれた。
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