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心地よく揺れる列車の中で、俺は気持ちを高ぶらせていた。
生まれて初めて乗った乗り物という物は、想像していたものよりちょっとボロかったけれど、それでもずいぶんと格好良くて、俺を感動させるのには充分だった。
歩かなくてもその対象を目的の場所まで運んでくれる。
活気を無くしたこの世界でも技術の向上は進んでいるし、こんなにも便利な物を開発してくれた人達に感謝したい。
俺の行く場所は海を越えた先。今回の目的で必要なこのアタッシュケースを運ぶには、レールがあれば何処へでも行ける機関車という乗り物が最適だった訳だ。
ガタガタと風の抵抗で揺れる窓の向こうには、ずっと同じような景色が続いている。
何処を見ても、何処まで行っても乾いた大地・・・荒野ばかりが窓の枠一杯に写りこんでいた。
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