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廊下に出て横に顔を向ければ、木製のドアが2つ確認出来た。
「さて、どの部屋から入るかねジオット君」
「え、俺っ!?」
この状況を腕を組んで渋々見ていたカーライルが視線を変えずに俺に言った。
何回目かわからないけど、俺に全員の視線が集まっている。俺の発言を待ってる訳だ。
なんかこう、これから先は経験の多い奴らに任せるつもりでいたから、これっぽっちも策を考えてなかったりするんだよな。
「言ってみろ」
「う…ちょっと待ってくれよ」
列車の時みたく脅すように言うから、俺は更に緊張した。
「じゃあまず、人のいない所から入っていこう。
そっちの方が安全だし、ついてたら苦労なく荷物が取り返せるだろ
ドアに耳宛てたら、中の物音確認出来ないかな」
精一杯考えて言うと、皆に「その通り」とでも言うように頷かれた。
「さっさとやろうぜ」
皆が足音を立てないようにゆっくりと先へ進んでいく。
即席の提案の割に、思いの外行動が早い。
あれ?もしかして俺、試されてたのか?
怪訝な顔をして立ち止まる俺の背中を満足そうにたたいたカーライルは、なんとも憎たらしい笑顔を俺に向ける。
「初心者のわりになかなか鋭い考え方じゃねぇか。その調子で頑張れよ」
うん、俺、頑張ろう・・・
とりあえず、旅初心者って理由でこのおっさんに遊ばれなくなるくらい。
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