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アルヴァが手前側のドアに音を立てないように忍び寄り、ゆっくり耳を近付けた。
俺達の間に緊張が流れる。
「よし、ここから入ろう。」
アルヴァが周りの確認もなく素早くドアを開けるもんだから、俺は目を丸くして部屋の様子を急いで確かめた。
良かった。誰もいないみたいだ。
但し、部屋の明かりは消されていて、何が置いてあるかまではわからなかったけど。
ラギィがドア付近のスイッチを押すと、チカチカと歯切れの悪い発光をするボロい蛍光灯が反応する。
「ここが荷物置きみたいだね。これ、僕のだもん」
そう言って、コリーは中央に乱暴に並べられている机の端に置かれた小さめのショルダーバッグに手をかけた。
「なんだぁ?ツメの甘い連中だな。見張りもねぇし、逃げられちまっていいのかねぇ・・・」
「あの部屋から出られる筈がねぇと思ってたんじゃねぇのか」
各自、自分の荷物を探しながら呟く。
確かに、こんなにうるさくしても人が来ないなんて間抜けにも程があるよな。
「あ、あった」
俺はアタッシュケースだけしか取り上げられてなかったから見付けるのも簡単だった。
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