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世界の荒野化が進んだ今、植物というのは稀少になってきていて、地域によっては花を知らない人もいるらしい。
窓に写る現実を間の当たりにした俺は、自然にアタッシュケースの取っ手を握る力を強めていた。
機関車に乗るのが初めて、と同時に実は故郷を離れるのも初めてな俺は、旅人というのを見たことがない。
この小さい車両に乗っている人間は俺も入れて5人。
車両と車両とを繋ぐ通路付近に座っている長身の若い男。大きな荷物を肩から提げながら、薄手の茶色い表紙の本を読んでいる。
俺の反対側の窓を覗いている無精髭で肩までウェーブがかった髪が伸びている男。定番のウェスタンハットにロングコート。
帽子を深く被りポンチョで体を覆った細身で目の大きい少年。俺と年は近そうだ。
格好を見る限り、こういう人達を旅人っていうんだろう。
あと、俺の向かいの席に座っている残りの一人は、恐らく旅人ではないだろう。
そう思ったのは直感でも考察でも無く・・・ただの偏見なんだけど。
こんな旅人がいるだろうか。
こんなに小さい子供が。
服装もそこらの子供とさほど変わりはしない、ちょっとだけ高そうな服を着ているというだけだ。
まぁ、たった一人で列車に乗るってことはなんらかの理由があるんだと思うが。
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