旅に延びる路

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  「あ、カーライル!」   俺は精一杯素早く立ち上がって、ベルトの銃を抜く。   そして化け物を睨むように見つめながら、カーライルにだけ聞こえるように言った。   「変なこと聞いて悪かったな」   「気にしちゃいねぇよ。大人の余裕ってやつだ」   「へへっ」   タイミングは一度逃したけど、一応、謝ることは出来た。カーライルもそこまで気にしてなさそうだし、ひとまず安心だ。   ・・・この化け物を倒せば、の話だけど。     「あんた、銃の使い方教えてくれるって言ったよな? この今、絶好の良い機会だと思うぜ」 「どうした、急にやる気じゃねぇか」   ジャキ、とカーライルが銃を持つ手を直角に上げた。   「さっきから旅経験の豊富な奴らに手柄取られてばっかりだからな」   「成程。じゃあ教えてやる。 見よう見まねでやってみな」   カーライルはそう言って銃の撃鉄を起こすと、化け物に銃口を向けた。   「それ、教えるって言うのか?」   俺もそれに従って、銃身の後ろを上に撫でた。  
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