旅に延びる路

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  銃の引金を引く、たったそれだけの動作で、1つの命を簡単に奪えてしまうのだと思うと・・・奪ってしまったのだと思うと、喜ぶべきなのかわからなかった。   まだ銃を撃った余韻が残って痺れている手の感覚を確かめるように、俺は何度も手を閉じたり開けたりした。   「・・・?」   視線を感じてそちらに振り返ると、ラギィと目が合った気がした。   すぐに反らされてしまったから、はっきりとはわからないけど。     しばらくして、俺達はもう動かない化け物を背に、再び歩き出した。   アルヴァから聞いたんだけど、あの化け物は元々はトカゲだったらしい。   荒野化が進むにつれて、この世界に住むことが厳しくなった生き物が増えて、結果その生き物達は生きる為に環境に合わせて進化をしたのだという。   荒野に生きるそんな化け物達は、餌として量もたんぱく質も手っ取り早くとれる上に、水や食糧も持っている人間…特に旅人を襲うようになったらしい。   進化するには長い時間がかかる筈だから、その分この荒野で苦しみ続けてきた生き物が沢山いるってことなんだろう・・・・  
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