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目的の駅まではどれくらいだろうか。
列車に漂う重い空気を紛らわすように、流れていく荒野へ目を反らした。
軽くため息をつく気の弱い自分を情けなく思いながらも、茶色と青のコントラストをぼんやりと見る。
(・・・って何やってんだ俺!
今のこれから俺は俺の夢の実現に向けて旅立ったんじゃないか!
始めの勢いはどうした!
なんでもドンと構えないと!)
我に返った俺が自らの頬を軽く叩いてそう意気込んだ直後、列車が大きく揺れた。
「うわっ」
この揺れ方は風とか、レールの整備不足とか、そういうんじゃなく、何かが後ろから衝突してきた感じだった。
その衝撃で窓のガラスが割れ、灯りの役割をしていたランタンの火が、割れた窓から入り込んだ風によって全部消えてしまった。
一瞬にして車両内は真っ暗になった。(まぁ、まだ昼だけど)
その後まもなくして機関車全体が止まり、俺達は荒野の真ん中に取り残されてしまった。
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