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物心ついた時には、もう親は居なかった。
端的に言ってしまえば、不良街道まっしぐらになりそうな境遇だったわけだ。
けど、そんな気力も度胸も培わなかった為、平凡な暮らしを満喫できた。
ソレもコレも全て姉のおかげだと思う。
なんせ反抗しようものなら、空中元彌チョップでも飛んで来そうだったから。
……いや、飛んで来たな、確か。文字どおり。
中学一年時の授業参観の日。
ありがちな話だ。
周りの平々凡々な友人達に嫉妬した……ってやつだ。
授業が終わった後、気恥ずかしさと申し訳なさが混じり合い、姉に酷い事を言ってしまった。
――……ありがとう、言えなかった。
「親ヅラしてせかせか見に来てんじゃねーお」
そんな風に思う事自体がまさに恥ずかしいのだけど。
なんせ当時は思春期真っ盛り。
子供心に悪ぶってみたくもあったのだろうし。
その場に友人が居た手前、格好つけたくもなったんだと思う。
……と、まずは自己弁護しておく。
話を戻そう。
普通の姉なら、まぁ良くて小言か。
最高でも平手打ちくらいじゃないか。
それどころか気弱な人間ならば謝りさえしてしまうだろう。
が、これは僕が敬愛する、闘神の話。
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