chapter.1

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今日は1限から数学だ。 よりによって、全教科で一番苦手な科目が朝からあるとは・・。 アカシアの木から鐘の音が鳴り、教室に数学の教師が入ってきた。 眼鏡をかけた、中年の教師が、時間がもったいない、と言わんばかりに、早速授業を始めた。 いきなりで何だが、簡単に言うとついていけない。 僕は完全に文系タイプなのだ。 現代文や英語、世界史といった科目は、成績も悪くないし好きなのだが、数学、科学は本当にさっぱりだ。 基本的に、数字や記号の羅列を見ていると、眠くなってくる。 チョークが黒板に当たる、カツッカツッ、という音も催眠効果がある。 授業を聞いていても、結局解らないし、僕はこの時間を睡眠にあてることにした。 解らない所は、後で遥に教えてもらおう。 遥は、その辺の教師よりも、全然教え方がうまいのだ。 彼女に教えてもらうと、するすると頭に入ってくる。 噛み砕いて、解りやすく教えてくれるからだ。 ただし、授業料として何か要求される事が大半だが・・・。 コンビニデザートくらいなら、必要経費だろう。 という訳で、僕は自分の腕を枕にして、眠りについた・・・
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