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それからずっと想い続け、この春にやっと想いを告げた。
遥はちょっと涙ぐんで、「遅いんだよ、バカ!」と言った。
彼女なりの照れ隠しだろう。
遥もずっと僕のことを好きだったらしい。
めでたく、僕らは付き合い始めた。
偶然にも、入学した高校が同じだった為、毎朝遥がこうやって起こしに来てくれる。
「外で待ってるから、早く着替えてね!」
僕がぼうっとしていると、遥はそう言って、部屋を出ていった。
時計を見ると、既に7時50分。
僕らの通う高校は、徒歩で通える距離にあるとはいえ、ちょっと危険な時間だ。
僕は、着ていたスウェットを脱ぎ捨て、手早く真新しいブレザーを着た。
部屋を出て、顔を洗い、歯をみがく。
朝食は元々食べないので問題ない。
身支度を整えた僕は、家を出た。
今日は雲1つない快晴だ。
朝の清々しい空気を、胸一杯に吸い込む。
「遅いよ、幹也!先に行っちゃうよ!」
肺に、空気が一杯に入っているところに急に叫ばれ、僕はむせた。
遥は、そんな僕を気に留める様子もなく1人で歩き出してしまった。
「待ってよ!」
僕は遥の後ろ姿に叫び、遠ざかっていく遥を追いかけた。
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