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「お色気てるところわりぃな、貴様の魂貰い受けるぜ」
不意にかけられた言葉により、ムードはぶち壊れ、戦慄が迸った。
ヒヤリとする風が更に凍てつくように冷たくなり、俺を吹き抜けていった。
「…………誰だよ、あんた」
「俺?俺は見ての通り死神だ。名前を聞いてるんなら無駄な事だぜ?俺達死神には階級はあるが真名は無いからな」
ニヤリと笑う死神は月光に輝く大鎌を持ち直す。
「………何で死神が俺なんか…………まさかあの大地震の時に仕留め損なったから、って言うんじゃないだろうな」
俺がそう言い睨むと死神は笑って口笛を吹いた。
「やるねぇ、ご名答その通りだ。あの状態だったからな、死ぬの待ってたら、どんな幸福スキル持ち合わせてるのか知らないが………助けられやがった。自分から手を出すのがダルかったんだが…………もうそんな事は言えなくなったんだよ。まぁ、結論を言うとだな…………お前は“あの時に死んでなくちゃいけない存在”だったんだよ」
死神の冷酷な言葉が身に突き刺さる………
辺りに吹く風がとても冷たく感じる…………。
季節は春だと言うのに…………。
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