1章・歪曲した本能

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「んー」 少女は食い入る様にテレビに集中している。 拓海の問い掛けが、ちゃんと耳に届いているか解らぬ生返事だった。 まぁ、多めに作っても損はないか。 そう思い、2人分の食事を作りにかかった。 食事を終えると、少女は風呂をねだった。 拓海は、バスタオルだけを手渡し、その間に食器洗いに取りかかる。 洗い物も終わり、部屋でなにをしようかと考えていると、少女が風呂から上がってきた。 さも、我が家にいるような自然さで、バスタオル一枚だけ身に纏い、真っ先に冷蔵庫へと向かう。 確かに家に着替えはない。 だが羞恥もなく、バスタオル一枚なのは拓海ですら、疑念を持った。 「なんもない」 「ああ、さっき飯作ったからな」 冷蔵庫で風呂上がりの一杯にジュースを探した少女は、空である冷蔵庫に口を尖らせた。 そして、つまらなさそうな顔のまま、拓海の部屋に戻る。 入れ替わりに、拓海も冷蔵庫を確認してみると、ジャムやマーガリン程度しか入っていない。 明日は買い出しか… 溜め息ひとつに、食料も飲料も貯蔵されていない冷蔵庫をバタン、と閉め、少女と同じ様な顔で、自らも部屋に戻った。
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