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あづみの門限が迫り、拓海は家まで送り届ける目的で結を残し、家を出て行く。
結の至福の時は、終幕を迎えたのだ。
結は、名残惜しくしばらくベッドから外を見下ろして2人の後ろ姿を見送っていたが、2人の姿が消えると急に虚しさを感じ、窓を閉めた。
夜風が遮られ、途端に部屋が蒸し暑くなってしまう。
息苦しさを感じた結は、結局再度窓を開けた。
さらさらと流れる夜風に、垂らした前髪が揺れる。
気温の割に涼しい風をしばらくの間、目を閉じて感じていた。
それにもやがて飽きると、孤独な時間に寂しさが訪れぬよう、テレビを付けっぱなしにしたまま、パソコンに近寄った。
このパソコンは拓海の趣味に汚染され放題であるのを結は昼の内に知っていた。
拓海は一人暮らしに油断をして、危険なデータフォルダにすらプロテクトをかけていなかった為、結は暇つぶしに触った時に彼の全てを見てしまったのだ。
非道な現場の数々を押さえた画像に最初は驚いたものの、結は拓海の心は荒んでいるのか。とやがて心配になった。
大半が遺体や凄惨な事故現場の写真だったからだ。
そのフォルダを閉じ、別のフォルダーを開く。
次は、緊縛された同じ年頃の少女達の画像が詰め込まれていた。
だが、結は拓海を嫌いになる事はない。
そんな事は初めて出逢った瞬間に体験している。
出逢いは、拓海が拉致目的で結に近づいた事。
それを思い出すと同時、拓海の様な非情になりきれぬ青年で良かった、と胸をなで下ろす。
だから拓海がそういう願望を持ち、成熟した女性よりも未発達な少女の方が好みであることも、自分が選ばれた理由なのだと、理解している。
でも、そんな拓海が自分に手を出せないのかはよく理解出来ずにいた。
だがもしも、一切の情を持たず自分を陵辱し続ける野獣が相手だったら、結は自らの命を断っていたに違いない。
当初の目的を失い、結との平穏な同居を決めた拓海の心に感謝する。
結は、実家でもパソコンをよく使用していた為、手慣れた動作で起動させる。
起動音が室内に響くと、暇つぶしにインターネットへ接続した。
一体何を見ようと悩んでいると、ふと誰かに相談を持ちかけたくなった。
結は一瞬躊躇った後、相談相手を見つけるため、大型掲示板にアクセスした。
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