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「そっか……じゃあ、
これは一体……」
サリカの言葉に納得し、再び考える。
「っ、ラ、グナ……ッ」
「うん? 」
「う、うえ……」
サリカの震える声に、ラグナが顔をあげる。
すると、目の前にはさっきまでなかった茶色の大きな胴体。さらに上を見上げると、熊のような猪のような獣の頭。口からはみ出ている鋭く太い牙に、ルビーのように鮮やかなで真っ赤な眼。それは、森にいる動物などではなかった。
二人の前に立ちはだかるその獣は、気づいていないのかすぐに襲う気配はない。
「さ、サリカ。動けるかい? 」
「た、たぶん……っ」
逃げるならいまのうちだろう。そうラグナは思い、サリカに、動けるかどうか、獣を刺激しないように小声で囁く。
「じゃあ、いちにのさんできた道へ走るよ……」
ラグナの指示にコクコクと頷くサリカを確認すると、獣の様子を伺いながら声を出す。
「いち、に、の……さんっ! 」
ラグナの合図で、走り出す。すると、その声に気づいた獣が雄叫びをあげ、追いかけてきた。
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