Ⅰ記憶喪失の青年と深い森

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 目の前に居たのは少女だった。自分より、歳は少し下に見える。 「……君、は? 」 「―――ッ!? 」  かすれた声で問う。少女は声に気付いたのか、肩を揺らして驚くと、少し後ろに下がる。 「ご、ごごごめんなさいっ! 」  腰が抜けてしまったのか、腰を引きずるように細い腕で青年から距離をとる。 「わ、私! 人が…こ、こんなところに横になっていたなんて、知らなくてっ」  青年はそんな少女を見て、ゆっくりと起き上がると、少し笑う。 「……? 」 「……ごめん。そんなに必死に謝ってるから、なんだか可笑しくて」  そう言うと、また笑う。それにつられて少女も笑った。 .
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