ソフィアン

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岩に二人とも腰掛けた。 青年の話では、ソフィーは彼が作ったロボットであり、「彼女」と呼ばれたのは恋人だからというわけではないらしい。 「別に"俺の彼女を助けて"なんて言ってねーしな。三人称の"彼女"、分かる?」 だそうだ。 「…で?なんであんなまぎらわしいシチュエーションになったんですか」 「いやーゴメンなー!ソフィーを分解(バラ)して部品点検やっててな。やっと組み立てが終わったら手を滑らせて川に落としちまった。俺は部品をポケットにいっぱいもってるから泳げねーんだ」 にかっと笑ってみせる青年。 むかっとする少年。 二人の間にしばしの沈黙が流れる。 「…………」 「………………(キルーの気持ちもちょっとだけ分かるな)」 青年はものすごく居心地が悪そうだ。 「あ…あのさ、どーしても信じらんねーかな?」 「そうですね。あなたのようなテキトーな人に未来の産物である精密な機械作りがこなせるとは思えません。ましてソフィーさんのような、肌の…ゴホン、柔らかいロボットが」 「おいおい、ひどい言われようだな…」 苦笑して青年はいきなり立ち上がる。 「よし分かった!!見せてやるよ、俺の機械技師の腕をな」 そしてソフィーの電源を入れる。 「おはようございます」 「おう、おはような!寝起きで悪いが、11号部品7個、2号鉄板1個、3号線6本と工具セット出してくれっか」 「かしこまりました」 そう言ったソフィーは服をたくしあげ、腹のカバーを開けた。そして中から頼まれた物をジャラジャラ出して、何事もなかったようにフタを閉める。 驢は絶句した。ソフィーの腹にはネジやらボルトやらが保管された引き出しぐらいしか見えなかったのだ。バッテリーや発電機などはどこに…。 「あ…あのぉ…」 「よし、できた!」 ジャジャーン!という効果音が一番似合いそうなポーズで差し出したのは… 「ネズミ型ロボット"ミーちゃん"だ!」 きれいなネズミ色をしたドブネズミだった。 「…なんで"ミーちゃん"なんですか」 「俺の遊び心。な、な、面白くね?」 「………。そのネズミ、いた場所にちゃんと返して下さいよ」 「おいちょっと待てよ!今俺が作ったんだって!ホラ!」 青年はネズミの腹のフタをパカパカ開閉する。 「ぎゃあああ!グロいもん見せるなー!!」 「はは!おもしれーのな!」 驢はしばらくホレホレと見せつけられていた。
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