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和倉と名乗る男はまるで話をそらすかのように
「オカルト雑誌ですか…こういった場所はいろいろと見て回ってるんでしょう?」
「ええ、まあ」
「このホテル、よその心霊スポットとは違うでしょ」
先ほどの「声」を思い出す。あれは倒れた私が見た幻覚だったんだろうか…そもそも私はなぜ意識を失ったんだろうか。やはり何か怪異が…
その話を切り出そうとすると和倉と名乗る男がしゃべり始めた。
「そちらのお嬢さんも具合があまりよくなさそうですし、早めに切り上げた方が良さそうですよ…」
口調は相変わらず間延びしているが、急に表情が気迫をおびてくる。
この男は、何か知っているのか──
「なんでそんな事指図されなきゃいかんのだ?まるでここから追い出そうとしてるみたいじゃないか」
蜂島さんが抗議しようとした時だった…
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