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今にも雨が降り出しそうな、じっとりと重たい曇り空だった。
私── 新井わかばはいつ潰れてもおかしくないような小さな出版社で雑誌記者をしている。
雑誌と言っても大したモノではない。心霊だの超常現象だのを扱う、いわゆるオカルト雑誌ってヤツだ。
いかにも眉唾なネタを拾ってきてはそれっぽい記事をでっちあげる。変に本気にしてしまう子どももいたりしてあまり褒められた仕事とは言えない。
「降りそうで降らない、イヤな天気だねー」
この人は蜂島さん。フリーのカメラマンだ。
しょっちゅうウチの仕事を受けてくれる。
そろそろ40を超えたくらいだろうか。気さくな良いおじさんだ。
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