カヤ

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昔、昔―― カヤの住んでいる所の裏にある、伊乃山には天狗が住むと言う言い伝えがあった――― そんな話は、あくまでも言い伝えでしかなく、カヤにとってはどうでもいい事だった。 「カヤちゃんは、なんでそんなに茶色の髪なの?」 「カヤちゃんの目はなんで茶色いの?」 他より、髪が茶色い――、 他より、目が茶色い――。 カヤは、生まれつき色素が薄い。 そのせいで、いつものけ者にされてしまう。 子どもは、自分とは違う者はのけ者にしてお互いの団結を深める習性がある。 カヤは何もしてないのに…。 皆と同じなのに…。 カヤはいつも、裏にある伊乃山に行く。 伊乃山は、天狗祭りの時以外は、ほとんど人がはいらないので、緑が本当に美しい山だった。 天狗は、妖かしの中でも位は高く、名のある高い美しい山に住み、大きな扇子で天候を操る。 カヤ達の住んでいる村は、災害が少ない。 それは、昔から天狗がこの村を守ってくれているという説がある。 だから、年に一回天狗を奉ってお祭りをする。 それが――天狗祭り――。
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