18人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
昔、昔――
カヤの住んでいる所の裏にある、伊乃山には天狗が住むと言う言い伝えがあった―――
そんな話は、あくまでも言い伝えでしかなく、カヤにとってはどうでもいい事だった。
「カヤちゃんは、なんでそんなに茶色の髪なの?」
「カヤちゃんの目はなんで茶色いの?」
他より、髪が茶色い――、
他より、目が茶色い――。
カヤは、生まれつき色素が薄い。
そのせいで、いつものけ者にされてしまう。
子どもは、自分とは違う者はのけ者にしてお互いの団結を深める習性がある。
カヤは何もしてないのに…。
皆と同じなのに…。
カヤはいつも、裏にある伊乃山に行く。
伊乃山は、天狗祭りの時以外は、ほとんど人がはいらないので、緑が本当に美しい山だった。
天狗は、妖かしの中でも位は高く、名のある高い美しい山に住み、大きな扇子で天候を操る。
カヤ達の住んでいる村は、災害が少ない。
それは、昔から天狗がこの村を守ってくれているという説がある。
だから、年に一回天狗を奉ってお祭りをする。
それが――天狗祭り――。
最初のコメントを投稿しよう!