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  「芽依子    玉木芽依子(タマキ メイコ)」 私は言った。     「めいこちゃんか 」     夢蒔は言った。      「あなたは?」         「ゆめじ 」     夢蒔はそうつぶやくと、足元の砂に靴の先で"メイコ"と書いた。     「なんでメイコなの?」 夢蒔が言う。 「なんでかな、 母が決めたみたいなんだけど、私を産んですぐに死んでしまったの 」     「ふーん」     「あなたはなんでゆめじなの?」     「母親が決めたんだ、 でもガキの頃家を出ていってしまったから、由来は知らない」     夢蒔はそう言って靴で書いた"メイコ"を消した。     なんか、どちらの言い分にも組まれていた『悪いこと聞いちゃった』みたいな腫れ物が調度よく相殺された感じがして、それによって母のいない淋しい回想が私の脳裏に割り込むことも無かった。         夢蒔は名字さえ言わなかったし私も聞かなかった。         ただ誰にでも適応する"誰かさん"から、名前で特定する手段を得たことが嬉しい。     3m後ろから呼んで振り向く要素が嬉しかった。                   「この前の話なんだけど、あなたに拾われるとどうなるの?」 私は言った。   「そうだなー、コーラと一緒かな」           「コーラ?」
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