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「そう、めいこちゃんをコーラみたいに呑んじゃう」
夢蒔は言った。
「呑んじゃう、て」
「くわしくは言えない、
いやらしく考えてくれてもいいし、
あたたかく考えてくれてもいいよ」
「どっちなの?」
「どっちも、それとあとちょっと何か」
「よくわからないよ」
私は言った。
「だね」
夢蒔は笑って肩をすくめた。
私は夢蒔の目を直視できない自分の至らなさに腹を立てながら、頭いっぱいに浸食していくピンク色の空間を初めて恨んだ。
視界の端で夢蒔の栗色の髪が風と遊んでいた。
たぶん今を振り返ることがこの先の未来にあったら、きっとこの時間は暖かい陽だまりの中、クッション材に包まれ大切に保管されていることだろう。
夢蒔の示す先に何が広がっているのか透けて見えさえしなかったけれど、例えばそれが真っ黒な恐怖だったとしても貰ってあげれるような気がした。
「そうだ、めいこちゃん明後日ヒマ?」
夢蒔は、時計を気にしながら言った。
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