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悪夢の女を見つけた。
思えば痛みというものは、突破口の見えない方が頭ごなしに抑えられた。
一度、突破口が見えてしまうと栓を抜いた水のようにその方向にしかいかない。
そこに地獄があろうが闇があろうが、その先でしか生きれないと結論づけてしまったら他の選択肢など無くなるのだ。
たとえそれが確証のない突破口でも心がそれと認めた途端、無数の痛みたちが突破口へと流れ出す。
この痛みたちを生み出し続けるあの終わらない夢の恐怖は、怒りよりも憎しみよりも着実に心を蝕み続ける。
その日、昼間にどんな素晴らしい平和が訪れようと、夜はいつも背後に恐怖をひそませ平和を脆い砂山に変えた。
あの日、突破口までの導火線を公園で見つけてから、俺はそこにいた女をどうにかしなければならないということばかりを考えていた。
あれは、あの夢の女によく似た匂いのような空気のような、そのどれとも違う全部の手前のようなものを持っていた。
瓶の中でうごめく、あの生臭さい質感と押し出そうとする力を俺は吐き気がするほどに感じた。
あのとき、公園の一角が悪夢の続きとつながった。
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