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「調子乗ってんじゃねぇよ!」
「……ッ!
ちょ、調子乗ってんのは伊崎の方やろ!」
一瞬、言葉に詰まってしまったあたし。
……ほんの少しの恐怖を感じたんだ。
「な、七乃のことハッキリしいや!
このままじゃ、七乃が可哀想やんか!
結局はあたしが何言ったって、最終的に決めるんは、あんたやねんから!」
改めて思う。
言葉使い汚ねぇ……
それにすっごい一方的だし……
「お前何なん!?
俺とアイツの問題やんけ!
ズバズバ首突っ込んでくんじゃねぇよ!」
……それはそうだ。
ふたりの問題なんだから、あたしには関係ない。
だけど……
「七乃のことが心配やねん!
……それくらい分かってやッ」
すると伊崎は何も言ってこなかった。
黙り込んでしまった。
と思っていると、伊崎が口を開いた。
「……だって…俺だって七乃が好きだから付き合ってた。
七乃が好きだったから一緒に居た…」
語り始める伊崎。
あたしは興奮を抑えながら、伊崎の話に耳を傾ける。
「でも、二ヶ月前くらいから、上手くいかないことがたくさんあって…
中学からやってるバスケなのに、中々上達しないし。
家族もここ最近仲悪くて崩壊寸前だし。
おかげで成績もがた落ちした。
経済的にもキツイこと多くてさ…
とにかく、ずっと悩んでる。
そんな中でも、七乃は変わらず彼女で…
デート中も考え事とかしてしまって、ぼーっとしてることが多かったと思う。
七乃は純粋で無邪気な奴だろ?
いっつも笑顔な七乃に、腹が立ってしまった。
悩みなさそうでいいなって…
こっちの立場になって見ろって…いつの間にか思うようになってた」
伊崎の口調は穏やかになっていた。
あたしの心も大分、和らいだ。
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