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「そんで、鬱陶しいって思うようになってて、つい七乃の悪口言ってしまってた…
アイツはただ純粋で素直な奴ってことくらいわかってんのに。
……ハァ。
瀬川の言う通り俺、最低だな」
伊崎の声のトーンはすっかり落ちている。
あたしの気持ちも落ち着いた。
「……ごめん。
確かにあたし、七乃から聞いた話だったら、最低な奴だって思ってた。
だけど、今は違う。
そりゃ、七乃の悪口影で言ったのは伊崎が悪いよ。
でも今の話聞いてたら、言い過ぎたって思った、ちょっと。
……だから。
関係ないのに首突っ込んで、伊崎の事情も知らないで酷いこと言って、ごめんなさい…」
「いや、謝らないで。
俺が悪いからさ。
何があっても彼女には、嫌な思いはさせないでおこうって決めてたのに…
ありがとう、何か俺スッキリしたわ!
七乃に謝る!」
「うん」
あたしの中からすっかり怒りが消えた。
中学から同じバスケ部の仲間である伊崎は、やはり良い奴であった。
「なぁ、瀬川」
「うん?」
「お前良い奴やな!」
「はは、ありがとう。
伊崎もまあまあだよ!」
「まあまあかよ。
ま、取りあえずありがとな!」
「うん、じゃあね」
「おう、またな」
プチ
ツーツー
良い方向に事が進んで良かった。
あたしも伊崎もスッキリできた。
きっと七乃も……。
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