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頼まれていたコピー用紙を抱え、俺は走って自分の部署へと戻った。
息を荒げて戻ったせいか、部長にコピー用紙を持ってきたことを伝えると
「走る羽目になるくらいなら、もう少し頭を使え」
部長は視線を手に持つ書類にやりながら苦笑いし、そう言い終わるとパソコンをカタカタ打ち始める。
──…バレてる。
部長の言葉に内心そう呟き
「はははっ…はい、以後気をつけます」
苦笑いでそう返し、俺は自分の席へと戻った。
席に着いてすぐに
「お前らしくないな」
隣の席の同期──三浦 啓太(ミウラケイタ)通称ミケが話しかけてくる。
ミケとはこの会社での出会いが、初めてだった。
先に話しかけてきたのはミケの方で、仕事帰りに飲みに行くようになれば自然と深い付き合いになっていった。
馴れ初めはこんな感じでいいとして、次に俺が彼を『ミケ』と呼ぶようになったきっかけでも話そうと思う。
やはり第一には、少し切れ長の目が上げられる。
次に上げるとすれば、彼の猫好きが上げられ、ついでに言えば彼は極度の猫舌だ。
そんなこともあり、苗字と名前の頭文字を取って、彼は愛でたく同期や先輩のみんなに『ミケ』と呼ばれるようになった。
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