忘れられない

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黙々と仕事を進める俺だが、いつもしていることだからなのか何かを深く考える思考は、別のことを考えていた。 ──彼女は…どこにいる…?── 俺が知っているのは……彼女の社員カードから分かった“椎木”という苗字と、今も忘れることの出来ない顔だけ…。 彼女がどこにいるのか分かったところで、何か出来るかと自身に問いかければ…出来ないと返ってくる。 追われることはあっても、追うことなんて俺はしてこなかった。 追うことをしていれば、“アイツ”と別れるなんてことなかったのだろうか。 早く仕事に慣れたくて、早く満足の出来る仕事がしたくて……“アイツ”の存在がそれを邪魔しているかのように、俺は思い始めた。 自然と会わなくなっていき…“アイツ”に割いていた時間は仕事に費やし、俺から別れを告げた。 “アイツ”はそんな俺に 「変わってないね…。“あの時”と同じ理由でアタシを振るんだ…龍二は」 少し悲しそうな表情でそう言い 「アンタの性格は分かってるつもり…アンタもアタシの性格分かってるでしょ?──三度目はない、これで全ておしまい。精々仕事で良い結果を納めなさいな。バイバイ…龍二」 .
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