忘れられない

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「端山(ハヤマ)、倉庫へ行ってコピー用紙を取ってきてくれないか?」 コピー機の前に立ったまま、部長が俺にそう尋ねてくる。 「分かりました、行ってきます」 とくに急ぎの用がなかった俺は、それを快く引き受ける。 ―・―・―・―・― 【第二倉庫】 最近第一倉庫に備品の大半が移動されたため、ここには殆ど備品が残されていない。 どうして俺が自分の部署から遠いこの第二倉庫へ来たかというと、理由はいたって簡単だ。 この第二倉庫はどの部署からも遠く、殆どの部署の者がここではなく自分たちの部署から近い、第一倉庫をよく利用していた。 そんなことから、最近第一倉庫は拡張工事が行われた。 だから、第一倉庫の備品が無くならない限り、ここに人が寄り付くことは無いに等しい。 そう、少し仕事をサボるには絶好の場なのだ。 おまけで、そんなことを企んで実行しているのは俺だけのようで、ここでそんな奴を見かけたことはない。 今回、快く部署の頼みを引き受けたのはここへ来るきっかけを作るためでもあった。 何もないのに、そうそう仕事場を抜けるワケにはいかない。 .
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