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俺は…──どうすればいい?
彼女をこのまま、慰めた方がいいのだろうか。
それとも何もせずに、このまま彼女が離れるのを待つべきなのだろうか。
そうなれば…──俺は仕事に戻れないということになり、結果的に俺は損をすることになる。
──…部長も、コピー用紙待ってるだろうしな。
そんなことを考えていれば、彼女はゆっくり俺から離れる。
どうするのかと様子を伺っていれば、彼女は視線を合わせることもなく
「…ごめんなさい、そこを退いてもらえますか?」
また少し俯いたままそう言ってくる。
俺は彼女に言われた通り、そこを退き道を空ける。
「ありがとうございます…」
彼女は軽くお辞儀し、俺の前を通り過ぎて行く。
──…まっ……
通り過ぎて行く瞬間、俺は軽く口を開き…そう呟きそうになった。
言う勇気も言う理由もないため、それは言葉にはならなかった。
彼女の後ろ姿に、俺は驚いた。
──…立ち直りの早いヤツだな。
胸を張るように背筋をピンと伸ばし、真っ直ぐ歩くその姿に俺はそう心の中で呟いた。
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